この由良比女神社はもとは知夫村の烏賊浜にあったが、由良へ移されてからは烏賊浜にはイカの群がこなくなり、由良に集まるようになったという伝説が知夫村にあります。

また、由良比女命が芋桶に乗って海を渡っているときに、海に浸した由良比女命の手をイカが引っ張った(噛みついたとも・・)のでそのお詫びのしるしに、毎年由良の浜にイカの群が押し寄せるようになったと伝えられています。 

由良の浜(イカ寄せの浜)『明治・大正から昭和20年代にかけて毎年のようにイカの大群が押し寄せた。毎年10月1日には由良の浜辺に30件くらいのイカの番小屋が建ち並んだ。12月から1月にかけて南風の良い凪で片月夜の晩にはよく押し寄せるので「今夜は来るぞ!」とおおよその見当はついた。こんな晩には浜辺の小屋に数十人が陣取り、また赤ノ江方面からは多いときは30隻ほどの船が湾内を埋め、源平合戦さながらの様相で海と陸からイカを待ち受けた。』と当時の様子が町誌「西ノ島今昔」に紹介されています。

自然の変化や漁業の発達に伴い、近年はイカが由良の浜にたどり着く前に捕獲されているらしくイカの群が由良の浜に押し寄せることはほとんど無くなりました。

由良の浜に寄ったイカの群 この写真は平成18年2月7日未明、十数年ぶりにイカの群が由良の浜に寄ったときの模様を撮影したものです。イカ寄せの浜が伝説ではなく、事実であることを物語る唯一の映像です。

イカを持っている人の足下にご注目下さい。ほとんど水に浸かっていないのがおわかりいただけると思います。

このようにイカが湾の最も奥深い浅いところまで寄せてくるのです。その理由は潮汐や産卵など様々な意見がありますが、大量のイカが陸に揚がるまで寄せられてくる理由ははっきりしていません。時間の経過と共にうち寄せられるイカが増え、陸にまで揚がるようになります。こうなると海につかる必要は全くなく靴を履いたままでもイカが取れるようになります。

まさしく「イカを拾う」状況です。 軽トラックの荷台がイカでいっぱいになっています。

(平成18年2月7日未明 観光商工課撮影)